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モデルの小さなプロペラの風切り音に耳を澄ませ、大空を飛翔する姿に思いを馳せる
(フライト・ポジション モデルの概要について記しました)

   

 このホームページ『フライト・ポジション』は、プラスチック・モデル飛行機の楽しみ方のひとつの提案です。
  プラスチック・モデル飛行機のパッケージのイラストや写真は、飛行中のシーンがほとんどです。やはり飛行機は、その機能しているところ、飛んでいるすがたが美しく、魅力的だからだと思います。そしてモデラーの誰もが、その美しい姿「飛行状態」をイメージしながら製作して、また、できれば飛んでいるようにディスプレイしてみたい、という想いを一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。

  「飛行姿勢」ということで、モデルを支柱に取り付けて空中に浮かす「スタンド・ディスプレイ」はひろく行われているところですが、残念ながら、これまでのスタンドのデザインは、とくに「飛行状態を楽しむ」ことを目的としているようには思われないものがほとんどで、単に展示のための一方便といったものでしかなかったようです。
  しかし、このスタンドを用いたディスプレイは、スタンドのデザインの自由性が広く、レシプロ機の飛行状態を再現するディスプレイモデルで重要なファクターとなる、プロペラを回わすことを考慮した場合、最適な形態であると思われます。
  このことから、スタンド・ディスプレイ方式による「飛行姿勢を楽しむ」ための構成について模索し、試行錯誤を繰り返しておりましたが、ディスプレイ・スタンドの、スタンドベース(基台)とスタンドアーム(支柱)のデザイン、その組合せ方やプロペラ回転部分の工作法など、あるていど一つの案としてまとまりがつきましたので、ここに紹介することに致しました。
  このホームページ『フライト・ポジション』が、「飛行姿勢を楽しむ」ことに興味を持たれた方の模型製作の一助になれば幸甚です。

  かつては、飛行姿勢をも意識した、地上・飛行姿勢コンパチブル・キットも多く見られました。パイロット人形は必ず付いている部品であり、プロペラを空転させられること、飛行姿勢にするためのスタンド、引っ込み状態の着陸装置の部品が付属、なかには折り畳まれる脚を持ったものもありました。スタンドについては「ふろく」という程度の認識であったためか、使うのに二の足を踏むようなものがほとんどでしたが、全体的にみて、機体はスケールモデルとしては大過なく、いま思うと、この方向は、楽しみ方を固定しないぶん、すばらしいことだったと思います。とはいえ、レシプロ機の飛行状態のモデルにとって、プロペラが、空転しても自分で廻らないのでは「画龍点睛を欠く」もので、適当なモーターが入手できない時代にあっては、どっちつかずの感が否めないのもまた事実でした。
  小型のモーターを利用してプロペラを回転させるモデルもありましたが、当時では超小型といえるモーターでもかなりの大きさで、組み込めるモデルもたいてい1/48以上とならざるを得ませんでした。また、地上姿勢との互換を考慮したためと思われますが、電源は機体内にセットすることがほとんどで、そのため、コクピットが圧迫されたり、スイッチの搭載など、機体に対して、外観的にも、無理な加工が施されるため、純粋なスケールモデルではなく、仕掛け物(ギミック・モデル)と捉えられていたように思います。
  これらの点から、せっかくの「飛行姿勢対応」も、ほとんどモデラーの受け入れるところとはならなかったようで、近頃のキットでは、飛行姿勢を意識したものは淘汰されてしまい、パイロット人形が付属しないのも一般的となってしまいました。ジオラマを除き、展示会や雑誌の写真などでも飛行姿勢の作品を目にすることは「まれ」というのが現状です。

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  時がうつり、個人用小型情報機器等の普及によって、その内蔵パーツとして開発された超小型モーターやLEDが、比較的容易に入手できるようになり、飛行姿勢には重要なプロペラの回転、またライトの点灯などが、小さなスケールのモデルでも可能となった今日、「飛行姿勢を楽しむ」モデルを気軽に製作できる環境が整ったといえます。工業の進歩に感謝して、温故知新、「飛行姿勢」のモデルを楽しんでみましょう。


『フライト・ポジション』のスタンドについて

  ディスクトップ・ディスプレイのモデルでは、展示モデル本体とともにディスプレイ・スタンドも大事な要素で、このスタンドのデザインによって、ディスプレイ・モデルの雰囲気もまた違ってきます。
  ディスプレイ・スタンドは、概略、全体を支えるスタンドベース部とモデルを保持するスタンドアーム部に分けられますが、従来、このスタンドベースとスタンドアームを一体のものと捉えてデザインされているものが多く見られました。この場合、スタンドベース・スタンドアームと展示モデルが連続する流れで結合されるため、モデルの雰囲気とスタンドのデザインは不可分の関係となります。このことを無視したスタンドは論外として、モデルの雰囲気に合うスタンドでは、ディスクトップ・モデルとしてのまとまりがあるものが得られますが、それだけ、汎用性のあるスタンドのデザインは困難なものとなってしまいます。また、モデルとスタンドのデザイン的な結びつきが強くなれば、肝心な、モデルそのものの印象が弱くなるともいえます。
  『フライト・ポジション』のディスプレイ・スタンドでは、展示モデルの「飛行姿勢」、即ち飛んでいる雰囲気を得ることを第一の目的として、(スタンドを引きずっていては飛べないので)スタンドと展示モデルの間にデザイン的な空隙を生じさせています。それは、スタンドアームを、単純な目立たないものとし、モデルを支えるという役割(黒子的な存在)に限定することで、スタンドとモデルを視覚的に独立させようというものです。スタンドベースはスタンドベースとして存在を主張しても、モデルだけに目をやるとモデルそのものが楽しめ、全体を俯瞰することでスタンドも含めたディスクトップ・ディスプレイのモデルとして楽しむことができます。スタンドと展示モデルの関係を、飛躍して役者と舞台にたとえるなら、名優であればどんな舞台でも好演できるし、舞台がよければもっと映える、というわけです。また、このことは、同じデザインで様々なモデルに対応でき、スタンドの汎用性が高くなるという利点もあります。

  『フライト・ポジション』で使われるディスプレイスタンドは、プロペラを回すという観点から、とくに機体を支えるスタンドアームに中空の金属パイプを用いることに特徴があります。アクション用の電源(乾電池やスイッチ)をスタンドベース内に設けて、展示モデルへの電力供給は、このパイプにコードを通して行います。そのため、電力供給のコードが外部に露出する不自然さがなく、重心位置が低くなり、ディスプレイ時の安定性が高いものになります。また、スタンド内に電池を搭載することで、容量の大きな電池を搭載でき、長時間の電力供給が可能になります。機体の工作は、基本的には、モーターの搭載加工と、スタンド・アーム取付け部の加工だけで、従来の工作とほとんど変わらず、スケール感もそれほど損なわれません。
  金属パイプは強度が高く、プラスチックなどの材料に比べて細めのものを使用できるので、それだけでもそう目立つものではありませんが、更に黒色系の塗装を施せば、スタンドアームの存在がもっと希薄になって、空中に浮いている感じが強くなります。また、スタンドアームに傾斜をつけることにより、スピード感が出て、飛行姿勢をより強く印象づけることが出ます。


  プラスチック・モデル飛行機は、脆弱な部分が多く、完成後の保存ということを考えるとたいへん厄介なものです。専用のディスプレイケースに入れれば破損は防げますが、その余裕がない場合、結局、作っては壊しの繰り返しとなり、記憶の陳列台に飾っているというモデラーがほとんどでしょう。これは、ディスプレイが地上姿勢であることに起因することが大と考えます。
  地上姿勢では、(1) そのモデルの平面面積が展示場所のスペースとして必要、(2) モデルを持つ際は必ず機体本体のどこかを持たなければならない。 (3) ディスプレイ時の機体の支持を、強度の弱い主脚・尾輪などに依存している……など、展示スペースの問題や破損させやすい場面が多いなど、保存には細心の注意を要します。
  しかし、『フライト・ポジション』 モデルにすることで、 (1) 必要な接地スペースは、スタンド・ベースの面積と上方空間さえあればよく、展示場所の確保が容易。 (2) 移動もスタンド部を持つことで、機体へ手を触れなくてもすむので、モデルの破損や汚損防止に効果的。 (3) はずみでひっかけたりしてこわしやすい、アンテナ支柱やピトー管など突起部は、金属に置き換えることで丈夫になる。 など、モデルの寿命を短くする条件が減少し、丹精込めて作ったモデルが、永く楽しめるものとなります。せっかく苦労して作ったモデルはいつまでもとっておきたいものです。


  かっこいいスケール・モデルの飛行機のプレゼントはとても喜ばれるものと思います。しかし問題はそのあとで、慣れているモデラー自身でさえ作っては壊しでは、デリケートなモデルの扱いに慣れていない人には、せっかくのものを壊さないようにと、かえって神経を使わせる結果となります。こんなことを考えると、とても人形やミニチュアカーなどのように、安易にプレゼントできるものではないことに気づきます。
  でも『フライト・ポジション』モデルなら、スタンド式なので、どこにでもちょこんと乗せておける、破損しやすい部分が少ないなどから、「なるべく機体本体には手を触れない」等、簡単なアドバイスだけで、気軽にそばに飾っておいてもらうことができます。更にプロペラの回転は、喜びを倍加させてくれるでしょう。フライト・ポジション モデルはプレゼント・グッズとしてもおすすめです。

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現状で、一番のネックはスタンドの製作です。管理人が多用している木の単板からの製作は、若干の木工用や金工用の工具が必要となり、プラスチック・モデルだけをやってこられた方には、多少重荷に感じられるのではないかと思いますが、薄い板やプラ板で枠組み構造としたり、粘土(様々なタイプの粘土が市販されていて、素材として面白そうです)ででも作ることができますから、是非トライしてみて下さい。スタンド作りからも、機体の製作とはまた違った楽しさを得られることでしょう。

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サイト管理人 布施昭生


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