工作 at random −4

■簡易小型コネクター
ピンが2列にずらりと並んだICコネクターと丸ピンプラグを、必要な分だけ切り取って使う、というだけのものです。ベースにピンごとに窪みが付いているので、これに沿ってエッチングソーで切り離します。頻繁な抜き差しには不安がありますが、金メッキ処理されたものもあり、そこそこ実用的な小型コネクターとして利用できるでしょう。

「フライト・ポジション」モデルでは、モーターからのコードをスタンドベース内の電源へ導かなければなりません。単発機では、同じ胴体内のことなので配線にはなんら問題がないのですが、主翼にエンジンが搭載され、その主翼がそれぞれ左右胴体部品に取付けられるタイプの多発機では、工程上、左右胴体の結合時の結線作業となります。すっきりした短い配線を目指すと、結線作業が意外に面倒で、それにその後の左右胴体の結合の時、コードが邪魔になり、作業がやっかいです。こんなとき、コネクターを用いると、貼り合わせる寸前にコネクターを接続するだけでよく、作業はとても楽になります。

オスの方をピンだけにした2Pコネクター
  
●双発機への配線例
丸ピンプラグを2個切り取って、左右のモーターからのコードに結線してオス側とし、ICコネクターを4ソケット分をひとまとめに切り取り、電源へのコードへのメス側としています。メス側のピンの片側に(+)(−)のコードを結線して、それぞれ根元でもう一方にスズメッキ線で橋渡し、左右のモータへの分岐させました
●参考: 「フライト・ポジション」工作室記事での使用例
第39回(ボーイング B-17F) 第40回(カーチス P-40E) 第43回(ロッキード P3C) 第47回(YS-11)

■コードどうしの結線について(多芯コード)
コードどうしの結線は、単にモーターを廻すためだけなので、つながっていればOKではあるものの、やはりハンダで固着しておくのが安心です。 ハンダ付けのやり方を 参考までに記しますと、下写真のように結線後の状態が、一直線(A)とV字状(B)になるなどの方法が考えられます。どちらも通電上の優劣はないのですが、「フライト・ポジション」モデルには、狭いところでも作業しやすく、楽に行える「B」の方をお勧めします。
 

(1)皮むき(コードの被覆の除去): 平らな台の上にボール紙などを敷き、よく切れるナイフなどの刃を押し当てて軽く転がし、皮だけに切れ目を入れてから、除去する側の被覆をつまみ、捩(ね)じるように(被覆の切り残し部分を捩じり切ることと、芯線がばらばらにならないように捩じりを与えておくため)して芯線から引き抜きます。 「結線しろ(皮をむく部分)」は、次の「撚り合わせ」作業を考慮して、多少長めにしておきます。また、被覆に切れ目を入れるとき、力を入れ過ぎると芯線まで切ってしまうので注意が必要です。できれば初めてのコードを扱う時は、被覆の厚さなどの確認のため、端っこで試し切りをしてみるとよいでしょう。 【簡単にコードの皮むきをする道具=ワイヤーストリッパー

(2)撚(よ)り合わせ: ハンダ付けをし易くするため、左右のコードの芯線を撚っておきます。このとき、撚りが自然にほぐれないように、「結線しろ」をやや長めにして、しっかり互いの芯線を絡めます。結線部は、上写真のように、「A」では撚った後の長さのままとなりますが、「B」ではその長さを調節することができます。「A」では、やや難しくなりますが、撚り合わせせずに、双方のコードを並列に合わせて、そのままハンダで固着しても実用上全く問題はありません。 ●「指の脂」はハンダののりを悪くするので、なるべく芯線に付かないように、タオルなどで指先を拭ってから行うことをお奨めします。

(3)ハンダ付け: こて先「A」のときは、ヤニ入りハンダと一緒に結線部分に当てて、ハンダを一気に溶かし込みます。こて先「B」は、「A」と同様にするか、一旦こて先にハンダをすくい、結線部分に乗せるようにします。この場合は、ヤニ入りハンダでもヤニ分は蒸発してしまうので、フラックスを結線箇所に塗布しておいてから行います。この後絶縁処理をしますが、熱収縮チューブを使うととても楽です。【参照: ハンダごて】。

コードの結線部のように、熱伝導が良い箇所のハンダ付けは、ほんの一瞬、半田ごてが触れた瞬間に完了します。そうならない時は、こての温度が低いか、ハンダ付け箇所が汚れている、などによるものです。どちらの理由でも、一度失敗すると、コードの表面に酸化皮膜ができて、きちんとハンダ付けは出来なくなるので、その部分は切除して、もう一度最初からやり直します。こて先は高温になりますから、くれぐれもヤケドや火事にご注意下さい。


●コードについて: たいてい模型工作などで用いるのは被覆コード(ビニールなどで覆われたもの)です。 これには、芯線に細い線を束ねた「多芯コード」と、その名の通り芯線が1本の「単芯コード」がありますが、前者が、柔軟性に富んでいて取り廻しが楽なことから多用されています。この「多芯コード」は、1本1本の線はとても細いため、配線で被覆の除去やひねりを与えるときなど切れ易いので注意が必要です。また同じ程度の通電ロス(電力の損失)の「単芯コード」に比べて太くなります。このようなコードひとつでも性質の違いを考慮して目的に応じて選ぶことが、模型工作の楽しみとなります。